春の風

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春の風

.*❀٭。.:*・゚ *❀٭.。.:*・゚ *❀٭.。.:*・゚ .*❀٭。.:* 腕時計を何度も見る。 《もう、どうしよう!間に合わないっ》 エスカレーターがもどかしい… しかも、前に人がいるから キャリーケースを持って 上がって行くスペースはない。 《ヤバい、ヤバいっ!》 なんとか上まで着いて 重い荷物を持ちあげて走り 改札を抜けて またホームへと走る。 こんな時に限って一番遠いなんて… なんとかホームに辿り着くと 駅員さんが確認中で もう扉が閉まる寸前だ。 駅員さんもびっくりして 急いでと言った感じで一番近いドアに 乗るようにゼスチャーで伝えてくれた。 ハァ…、ハァ…、ハァ… 《良かった…、乗れた…。》 どうにか息を整えて 指定席へ向かおうと進むと 飛び乗った車両はグリーン車。 なんか、皆んなゆったりと 落ち着いて座っているのに 場違いな私がガラガラと歩くと チラチラと見られて恥ずかしい… やっと自分の席に座り 〝フゥ〜ッ〟と息を吐いた。 新幹線が動き始めて外を眺める。 4月… 私は23歳になっていた…。 もうすぐ、あれから一年。 自分が自分じゃないような 不思議な一年だったな… いろんな人に心配をかけたし ユミには 〝何?今ごろ反抗期なの⁈〟 って言われたり… 先生にも 〝危なっかしいな〜!〟って 苦笑いされたり… 自分でも反省の一年だった…。 優ちゃんとのお別れからの 一年を振り返りながら外を眺めていた。 今日は天気が良くて 降りる駅に近づくと色んなところに 桜が咲いているのが見えてきた。 目的の駅に着いて外に出ると 眩しい春の陽射しと あたたかくて優しい春の風に包まれたーー。 *❀٭。.:*・゚ *❀٭.。.:*・゚ *❀٭.。.:*・゚ .*❀٭。.:*
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