209人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
――休憩と称して、イチャイチャしている間にチンッ!ピロロローンピロローンとオーブンが僕達を呼んだ。
オーブンから金型を取り出して、しばらく冷ましておく。うん、焦げてないし生焼けでもないしバッチリだよ。冷めるのを待っている間に、イチゴを切ろうね。
金型の中のフワフワをツンツンしていた柚樹さんに包丁を持たせ、僕がヘタを取ったイチゴを渡す。
小さいのは縦に半分、大きいのは3等分がいいかな。包丁で切るのもゆっくり、恐々で、正直見ているこっちがハラハラする。
だんだん慣れてきて次々切っていくけど、切るのは半分でいいよ。残りは、上の飾りで使うから。
――で、また休憩と称してイチャイチャ。金型の中のフワフワがしっかり冷えた頃には夕方になってた。晩御飯、手抜きでいい?
「冷えて固まってるから一気に引き抜いていいよ。そーっとね…………よし、じゃあ紙を剥いで、1番上の膨らんでる部分をまっすぐ水平に切ります!横から見ながら、熱した包丁を前後に小刻みに動かすといいよ」
「はーい。包丁をあぶるのか?まっすぐ水平か、難しいな」
「上を切ったら下の部分、3等分になるように2回水平に切ってくださーい。あ、スポンジを縦にするのはダメ!潰れるっ!」
柚樹さんが何を作っているのか、何となくわかった?もうびっくりだよ。柚樹さんが突然料理を教えて欲しいって言うから、何か食べたいご飯があるのかと思ったけど。
まさか、ショートケーキをホールで作りたいだなんて。しかも、僕のために。一緒に作って、一緒に食べたいって。
ケーキなんて僕だって初めてだよ。柚樹さんは甘いお菓子が苦手だから砂糖は控えめで。
最初のコメントを投稿しよう!