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「あの、重くん…」
「気が変わった。章ちゃんがあんなにお前に執着してるなんて思わなかったなぁ」
「まさかオレのこと、許して…?」
「許す?あはっ、面白い思考回路してんね。オトモダチに薬飲まされて襲われかけたんだよーって言えば良かったかな」
「ひっ、ごめ、」
「うぜぇからおれに謝んないで?消すよりもっと良い方法思い付いたんだ。だからまだもうちょっとだけ続けてていーよ。オトモダチごっこ」
「…え」
「あ、でも章ちゃんに指一本髪一本でも触れないでね。いつでも見てるから、ね」
漆黒から覗く褐色の瞳はゾッとするほど美しく、そして無機質だった。目の前の人物を見ているようでその実何も映してはいない様な眼差し。
心臓がぎゅっと握り潰される様な感覚にどくどくと冷や汗が止まらない。
地球の重力が一気に増したかのようなその感覚に足がガクガク震えて、動けない。
一刻も早くこの場から逃げねばと心臓が警告するのに、身体が言うことを聞いてくれない。
そんな地面に縛り付ける様な威圧感を放ちながらも妖しげに光る瞳が逸らされる事は無かった。
彼が戻ってくるまでは。
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