春の嵐

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「さっきの話だけど、俺は悠李の気がすむまで松田先生のところへ行かせてあげてもいいと思うな」 夕食を終え、後片づけをしながら、潤一と子供たちの今後の面会について相談をした。 「でも、向こうには美穂先生がいるのよ。子供たちは気に入っているし、とっても遊ばせ上手でしょ。ずっと琴似のマンションに住みたいなんて言われたら、どうしたらいいの?」 「いくら慣れ親しんでた保育士さんだって、親とは違うだろう。彩矢ちゃんはもっと自信を持ったほうがいいよ。悠李を気持ちよく行かせたほうが、長引かせずに済むような気がするんだ」 「潤一さんが何を考えているのか怖くて。まだ親権のことを諦めてないかも知れないでしょう? 子供たちがパパと一緒に暮らしたいなんて言い出したらと思うと」 「………う〜ん、確かに松田先生は侮れないからな」 「美穂先生と再婚するつもりなのかも知れないわ。雪花は美穂先生が大好きだから、本当に心配で、」 悪いほうにばかり考える、このネガティブ思考が、子育てにおいても悪影響を及ぼしているのだろう。
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