私の機体にもバケモノが!

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私の機体にもバケモノが!

その時だった。水野が驚いた様に声を上げた 「機長! 二時方向の雲の中に何か居ます!」 心臓の鼓動が跳ね上がった。私がウィンドシールド外を見つめると、右前方の積乱雲の背後から巨大な赤い顔がこちらを覗いている。私が見つめると、その釣り上がった目と私の目が合った。その目がニヤリと笑うのが分かる。 「あれは・・バケモノ・・なの・・?」」 『バケモノ』は雲の陰から飛び出した。真っ赤な身体、大きな翼には太い血管が走り、先端に爪の様なものが見える。釣り上がった二つの目が真っ赤に(ひか)る。その姿は正に・・。 「悪魔・・あれが・・他の機体を・・」 「機長、衝突コースです!」 私はハッとして我を取り戻した。 「水野君、I have!」「はい、You have!」 「緊急回避に入るわ!」 私は操縦桿(サイドステック)の先端の赤いボタンを押した。『ブーン、ブーン』という警報音と共に操縦が手動(マニュアル)に切り替わった。 私は操縦桿(サイドステック)を左へ大きく傾けた。機体が大きく左にロールしJEJが左急旋回に入る。 「バケモノが追って来ます!」 右のウィンドシールドに右後方カメラの表示が映されている。左旋回で回避をしている機体をバケモノが追いかけて来るのが分かる。奴が大きな真っ赤な右手を前に出している。その右手はゴツゴツしていて尖った爪が赤く閃っている。その右手が機体の右翼を掴もうとしている。
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