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「あっちゃん、起きて起きて」
乱暴に肩を揺すられて夢の世界から抜け出す。教室内はまだ給食前だというのに蛍光灯で煌々と照らされていた。
今日の天気は雨予報。黒板の日付欄の下にも雲が泣いているイラストが描かれていた。どんよりろした暗い雨雲が朝から空を覆っていたものだから一日中電気を点けておくことにしたのだろう。
私を揺さぶったのはクラスメイトのキョーコちゃん。私にどうしても言いたいことがあったみたいだ。キョーコちゃんはテンションが上がるといつでもちょっと乱暴になる。そんなところがチャームポイントでもアリ欠点でもあった。
「外、見てよ。雪だよ!」
その声に驚いた。雪! まさか、ねえ。昔からこの街には雪なんて降らない。お母さんが「土地が暖かいところにあるからねえ、降ってもミゾレくらいじゃないかしら」
私はミゾレが何か分からなかったけれど、雪じゃないことはわかった。
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