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「…でも、あの時のイアン様…お父さんみたいで頼もしかったし、私の為にあんな風に怒ってくれて、嬉しかったです。ふふ…」
照れくさそうに笑った綾は出会ってからより柔らかい表情だったので、坂本は思わず、見とれてしまった。
しかし、綾さんにとってのイアンは…お父さんポジションかぁ。
本人聞いたら、なんと言ってどんな表情するんだろう?
案外、そうかそうかと満面の笑みになりそうな気もする。
「ご馳走様でした」
坂本が考えている間に、食事を終えた綾が手を合わせてご馳走さまを言った。
それを聞くと魔王がすかさず綾の食器を下げ、お茶を綾の前に置いた。
「ありがとうございます。片付けは私が」
綾が立ち上がろうとすると、魔王がそれを手で座るよう止めて、
「気にしなくてもよい、我がやるゆえ、茶でも飲んでおれ」
そう言って、洗い物をし始めた。
イアンが父なら、魔王はおふくろポジションだな…。
絶対、本人には言えないけれど…。
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