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 咲久良の家に入り、急いで夕ご飯の準備に取り掛かる。  咲久良の家での調理にも慣れたもので、自炊をしない彼の台所にはほとんど調理器具はなく、調味料さえもなかったため、すべて買い揃えた。  その結果、もはや凰花の家よりも品揃えがあり、料理のしがいがある。  ほとんどお金を使わない咲久良は、新しい調理器具や家電があると凰花に「これどう?」と聞き、少しでも反応があるとすぐに買ってくる。  この貢ぎ癖のようなものは心配であるものの、買ってくれた器具を使って料理しているのを見ると嬉しそうな顔をするため強くは言えないのであった。  さっと麻婆豆腐と炒飯、サラダ、スープを作ると、リビングのソファでゆっくりとテレビを見ることにした。  テレビを見ながら、咲久良に家族のことをどう説明しようかと悩む。どこまで話せばいいのだろう。  うまく説明できる自信はないが、正直に話すことだけを考えよう。  そんなことを考えていると、鍵が挿さる音がした。  時間を確認すると、1時過ぎていて、どうやら咲久良が帰ってきたようだ。
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