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凰花はリビングのドアを開け顔を覗かせると、「おかえり」と声をかけた。すると、靴を脱いだ咲久良が少しくたびれた笑顔で「ただいま」と返してくれる。
咲久良はスーツを脱ぎながらリビングに入ってくると、凰花はその脱いだスーツを受け取ってハンガーにかけた。
「おつかれ。先お風呂いっといで」
「うん、ありがとう。
すぐあがってくるね」
「ん」
咲久良がお風呂に入っている間に凰花はキッチンへ行き、作っていたご飯を電子レンジで温め、スープを再び火にかける。
ちょうど全ての献立がテーブルに並んだ頃、咲久良は上がってきた。
「今日麻婆だ!めちゃくちゃ美味しそう!」
「どうぞ召し上がれ」
咲久良は急いで髪の毛を乾かしてから椅子に座ると、ご飯に向かって手を合わせた。凰花は咲久良の向かいに座る。
「いただきます」
麻婆豆腐を口に入れた瞬間、咲久良は顔をあげパッと笑顔を見せる。
「美味しい!ありがとう」
その顔を見るために料理をしていると合っても過言ではない。夢中で箸をすすめる咲久良を凰花は目を細めながら見つめていた。
「ごちそうさまでした」
咲久良の食事が終わると、凰花は話を切り出した。
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