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第七章 海水と灰 ニ
内薗を帰らせて、少し離れた場所にある国立公園の敷地にある、鍾乳洞に行ってみた。もうすぐ夜になってしまうので、鍾乳洞の中に入る事は出来ないが、場所は確認しておきたい。
すると、和泉が刑事の勘というやつで、俺よりも先に鍾乳洞に到着していた。
「死体があれば、殺人事件にできる。ここに事件があったという事を、証明しないと、この土地は浮かばれない」
和泉も事件を追ってみて、色々と思う事があったらしい。
だが鍾乳洞に近付くと、そこには保管庫と同じ型のクリップが、大量に撒かれていた。しかも、クリップが微かに振動している。
「ダメです。和泉さん、鍾乳洞に近寄らないでください。このクリップのような鉄辺に触れると、海水と灰に分解されます」
和泉は、俺が何を慌てているのか気付かずに、鍾乳洞に近付いたが、前でネズミが消えたのを見て慌てて引き返してきた。
「チビ3、誰が重低音の発生装置を使っている?」
『港付近の倉庫です』
だが、チビ3の報告によると誰かを狙ったものではなく、調整だけしているという。
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