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「こんばんはぁ!」
慶司の声に、稽古前にストレッチや素振りなどをしている大人達が一斉に手を止め、
「オッスッ!」
なんて返してくる。
慶司はこの瞬間が大好きだ。
はじめてここに来たのは、中学一年生。
防具を付け始めた時で、ちょうど部も盆休み。
従兄弟のミツ兄が剣道してるんなら、防具持って来なよ!そう誘ってくれたからだ。
この時は、まだ国分には出会ってない。
父の里帰りにレンタカーを借りるのは定番。
そこに機械刺しの初心者用の防具積んで
父の運転で、一路長野県へ……。
出迎えてくれた長野の町道場の大人達が優しく、厳しく指導してくれた。
それも今はいい思い出だ。
今の慶司では考えられないが、ミツ兄や大人達にめちゃくちゃ打たれていた。
でも、それははじめだけ。
毎年恒例で来る度に、慶司はレベルを上げ
対抗できるまでに気がつけばなっていた。
それは部も、出稽古も日々真面目に稽古を積み重ねた結果。
ーーー稽古は嘘をつかない。ーーー
それを慶司は実感している。
ちなみに高校で国分と出会い、
「面白そう」とくっついてきたのはこの辺りだ。
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