いつかの

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いつかの

 住宅街の一角。公園のシーソーに乗ったままスナップ写真を撮る一人の男性がいた。  ひと気はなく寒空の中、あまりにも夢中になって写真を撮っていたので思わず見入ってしまった。  暫くすると今度は鉄棒に移り、同じように片手で棒に掴まるとその景色を写真に写しはじめる。  これだけならば、決して不思議では無く写真が好きな人に思えた。しかし、思わぬものまで写真におさめはじめた。 「此処はもういいか。そうだった、これ食べないと」  シーソーに乗ったまま、クレープを食べ始めたかと思うとその食べかけのクレープの写真まで撮りはじめた。 ”あの人、何やってるんだろう”  声は出さず、段々とその男が不審者に思えた為、私は後をつける事にした。
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