喜んでくれるので頑張れるんです。

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カレーショップを出て、腹ごなしに海まで歩くことになった。 明星は元気で、美峰と優星の手に掴まってぴょんぴょんしながら進む。 「歩きづらいだろ。ちゃんと歩けよ」 優星が笑いながら言うと、明星は悪戯っ子の顔でイヒヒと笑った。 「わぁー!海が見えてきたよー!凄ーい!」 青い空に、白波を立てる海。 明星はサラサラの砂浜に一気に駆け出した。 楽しそうに笑いながら、明星は波打ち際まで進む。 「濡れないように気を付けろよー」 優星が大声で言うと、明星は大丈夫!と大声で返事をした。 海岸はまだ海水浴のシーズンではないので、人もまばらだが家族連れが砂浜で遊んたりしていた。 「潮の良い香りだね」 美峰が言うと、優星は眩しそうに美峰を見る。 「お台場の時を思い出します」  優星の言葉に美峰はドキッとする。 「どうして今日は鎌倉に?」 優星が今日の目的を尋ねる。 「紫陽花を見たかったのも本当だけど、明星君を海に連れてきたかったんだ。多分、休みが合わないから、海水浴には連れてきてあげられないから。入れなくても、海を感じさせたかった」 美峰の明星への気持ちを知り、優星は今すぐ美峰を抱きしめたくなった。 「いつも明星を大切に思ってくれてありがとうございます。美峰さんの方がよっぽど明星を見てる」 少し悔しそうに優星は言う。 「仕事柄、僕は誰かに喜んでもらえると、それが僕の喜びで嬉しくなる。だから頑張れる。優星君や明星君とのこともそう。ふたりが嬉しそうにしてくれるだけで、どんな事でも頑張れるよ」 美峰の言葉に、優星は顔をクシャッとして笑う。 「俺もです。美峰さんが居てくれるから、明星を守って行こうって強く思える。そして、美峰さんのことも、どんな事があっても悲しませたくない。守りたいって思う」 ふたりは見つめ合うと自然と顔が綻び笑顔になる。 「ありがとう。僕、マジ幸せだよ。優星君と明星君のおかげで毎日楽しい。これからもずっと側にいさせてね」 美峰の笑顔が綺麗で優星はドキドキする。 今すぐに抱きしめてキスしたい衝動に駆られる。 「美峰くーん!にーちゃん!見て見て!貝殻だよー」 砂浜に打ち上げられた貝殻を明星は拾い集めていた。 ふたりは明星に駆け寄ると、一緒になって綺麗な貝殻を集め始めた。
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