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現代(2035年)
曹達(そうだ)の家
玄関の扉が勢いよく開けられる。
バタン!
少女が家のなかに、入ってきて、階段を駈け上っていく。
曹達の部屋のドアが、勢い良く開けられる。
ガタッ
少女「曹達、まだ寝てるの?学校遅刻しちゃうよ!」
俺「はぁ、今何時だよ………」
ベッドから、寝ぼけた頭で、時計を見る。
俺「やっべー………って、まだ7時半じゃん。もう少し寝る………」
少女「こらーっ、起きろー、昨日、学校行く前に、あの店に寄るって、約束したでしょ?」
俺「あぁん?そんな約束したっけ?」
少女「玄関のとこで、待ってるから、早く着替えて来てよね」
俺「俺は、蒼井曹達(あおい そうだ)、都内の高校に通う、高校生だ」
俺「そして、朝っぱらから、ひとんちに来て騒いでる、この女は、運波茜(うんわ あかね)、俺の幼馴染みだ」
母「あんた、朝飯は食べて行きなさいよ」
俺「今日はいいや。茜と学校行く前に寄るとこあるから」
俺は、起きて素早く着替えると、茜と共に例の店へと向かった。
俺たちは、通学路を並んで歩いていた。
俺「しかし、朝っぱらから行かなきゃいけない程、その店、そんなに人気あるのか?」
茜「うちの高校の女子には少なくとも大人気。何てったって学校からすんごく近いし………。当たるって評判なんだ………」
そこで、茜は、振り返って言った。
茜「とくに恋愛に関してはね………」
俺「ふーん」
俺は大して気にしてない振りをした。
そうこうしているうちに、俺たちは例の占いの店にやってきた。
俺「占い館 魔時來(うらないやかた まじっく)?」
俺「変な名前だな」
茜「占い館は、だいたいこんな名前だよ。それより早く入ろう」
俺は、茜に言われ、テントのような店の中へ、一緒に入った。
そこには、テーブルが一つあり、その上に、水晶玉が一つ、のっていた。
占い師「どうぞ」
占い師と思われる高齢の女性に席を勧められ、俺たちは椅子に座った。
茜「早速ですが、私たちの恋愛運を占ってください」
占い師「あいよ」
占い師は、目をつぶって、両手を水晶玉にかざすと何やら呪文のようなものを唱え始めた。
暫く、それが続いたが、5分程で手をかざすのを止め、目をあけると、俺たちに向き直って言った。
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