第1章 余波

2/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
現代(2035年) 曹達(そうだ)の家 玄関の扉が勢いよく開けられる。 バタン! 少女が家のなかに、入ってきて、階段を駈け上っていく。 曹達の部屋のドアが、勢い良く開けられる。 ガタッ 少女「曹達、まだ寝てるの?学校遅刻しちゃうよ!」 俺「はぁ、今何時だよ………」 ベッドから、寝ぼけた頭で、時計を見る。 俺「やっべー………って、まだ7時半じゃん。もう少し寝る………」 少女「こらーっ、起きろー、昨日、学校行く前に、あの店に寄るって、約束したでしょ?」 俺「あぁん?そんな約束したっけ?」 少女「玄関のとこで、待ってるから、早く着替えて来てよね」 俺「俺は、蒼井曹達(あおい そうだ)、都内の高校に通う、高校生だ」 俺「そして、朝っぱらから、ひとんちに来て騒いでる、この女は、運波茜(うんわ あかね)、俺の幼馴染みだ」 母「あんた、朝飯は食べて行きなさいよ」 俺「今日はいいや。茜と学校行く前に寄るとこあるから」 俺は、起きて素早く着替えると、茜と共に例の店へと向かった。 俺たちは、通学路を並んで歩いていた。 俺「しかし、朝っぱらから行かなきゃいけない程、その店、そんなに人気あるのか?」 茜「うちの高校の女子には少なくとも大人気。何てったって学校からすんごく近いし………。当たるって評判なんだ………」 そこで、茜は、振り返って言った。 茜「とくに恋愛に関してはね………」 俺「ふーん」 俺は大して気にしてない振りをした。 そうこうしているうちに、俺たちは例の占いの店にやってきた。 俺「占い館 魔時來(うらないやかた まじっく)?」 俺「変な名前だな」 茜「占い館は、だいたいこんな名前だよ。それより早く入ろう」 俺は、茜に言われ、テントのような店の中へ、一緒に入った。 そこには、テーブルが一つあり、その上に、水晶玉が一つ、のっていた。 占い師「どうぞ」 占い師と思われる高齢の女性に席を勧められ、俺たちは椅子に座った。 茜「早速ですが、私たちの恋愛運を占ってください」 占い師「あいよ」 占い師は、目をつぶって、両手を水晶玉にかざすと何やら呪文のようなものを唱え始めた。 暫く、それが続いたが、5分程で手をかざすのを止め、目をあけると、俺たちに向き直って言った。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!