最古の写真

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 2020年、南米ペルー。国立トルヒーヨ大学・考古学人類学科・歴史学博物館で記者会見が行われた。  通常、新たな科学的発見があった場合、学会か論文で発表されるが、学会は年に1回、論文も査読され掲載に時間がかかる。そのため、天文学や考古学の重要な発見については、記者会見で事前に発表されることがある。もちろん、内容は発表まで伏せられる。  ペルーの国立大学考古学博物館であれば、間違いなくインカ関連と想像され、国内外のテレビ局や新聞社、そして学術誌のみならず一般大衆誌まで取材陣が詰めかけた。地下巨大ピラミッド発見か?宇宙人来訪が証明された?などと噂された。  まず、教授が挨拶し、を発見した学者が演題に立った。まだ若いその男は、学会での発表の経験すら乏しく、緊張で滝のような冷や汗を流していた。  会場が暗くなり、スライドが映された。まず、ペルーの地図、そして発見された遺跡の場所と名前、年代が説明された。 「我々は・・・F36層に・・・石灰岩で造られた石室を・・・この石板を発見しました。今回発表させていただきましたのは・・・」  そして、発掘された遺物が映し出された。 「人類史上最古のです」
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