今更止められない

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今更止められない

 彼の手が、私の髪にそっと()れた。  初めての私を落ち着かせようとしてくれている。 「そんなに怖がらないで」  そう言いながら。 「でも‥‥‥やっぱりちょっと怖いわ」  緊張気味に私が言うと、彼の手は、今度は私の肩をそっと撫でた。  彼に(さわ)られて、自分が汗ばんでいることに気付く。 「大丈夫だから、ね」  そんな甘い囁きに、私は言葉ではなく、強張った笑顔で答えた。  心臓が高鳴っていく。  そしてそのまま、二人は徐々に昇り詰めていく。  でも、つい両腕、両足に力が入ってしまう。  「そんなに緊張しないで、力を抜いて」  そう言われて、私は一度深呼吸した。  ここまで来たら、もう後戻りは出来ない。  ゆっくり、ゆっくりと頂点へと向かっていく。そして‥‥‥
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