椿の過去

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椿の過去

人は、一歩ずつ階段を登り始める。階段がないなんてありえない。上と下見たとして、どっちにしても階段があるようにきりがない。ポジティブ、ネガティブでもステージクリアしない限り神は試練を与えてくる。私は、どちらかといえば、ネガティブで、インドア派だ。陰キャラだと言えるだろう。昔のうれしかった記憶が思い出せと言われたら、無に近いだろう。家族はもういない。異世界に転生したのも何か理由があるのかもしれない。私の過去は、この世界で私だけしか知らない。偶然、街で倒れていた私を助けてくださった先生と巡り会えたこと出会えたことが奇跡だ。あの時は本当に死にかけていた。もうこのままじゃ体が動かなくなってしまう。指先が凍りつくように、血液が凍結する。本当に先生のお陰だ。ありがとう。あの日は、確か高速道路で家族と旅行をしていた時だった。私たちの家族は、4人家族で、お父さん、お母さん、兄、私の家族構成で、大阪旅行に行こうとしていた。車は、トヨタのAQUAで水色だ。運転席に父、助手席に母、後ろに兄、私が座った。移動中各自好きなことをする。音楽聴いたり、ゲームしたり、小説読んだり様々だ。「なあなあ後何時間で着く?」「なかなか大阪到着せんやん!」みんな言いたい放題だ。「ここからだと3時間だな。」離れた孤島から来たのだから仕方がないことだ。すると、後ろにいた車が、私たちの車にぶつかってきたのだ。「おい!ぶつかりやがった。」「最悪だっー!」「早く警察!」「電話はまだなの?」おまけに強風で車全体が揺れる揺れる。最近は、ドライブレコーダというものが付いている。証拠としては十分にある。だが、ハンドルが動かされてうまくハンドルを切ることが出来ない。私が危ない⁉︎と思った頃には、左右に車がぶつかり合い、椿の車が横転し、火の車と化けた。家族全員意識は無かった。皆近くの病院で運ばれた時には火傷が酷く、治療を施せない状況だったという。全身火傷の重症だということだ。病院に運ばれた時には私だけ火傷の傷もなく、意識不明で運ばれた。そして数日後、意識が回復し親戚に状況を聞かされた。「生憎だけど、君だけが残ったんだ。言葉にできない程本当に残念だったね。不幸で、災難だったと思う。学校も少し休学の形で取らしてもらうよ。いいね。心のケアも必要だと思うし。」親戚の人たちは、椿の事思い涙を流した。「えっなんで。。なんでこんな事になるの。だって一緒だったじゃない。何かの間違いだよ。きっと。夢見てるんだよ!私以外生きていないなんて嫌!絶対に嫌!!この気持ちを分かってくれる人なんていない!」椿は無我夢中に走った。病院の廊下を。あぜ道を。場所もわからない道を。「椿ちゃん待って〜!」遠くのところから椿を呼ぶ声が聞こえる。そんなの全部無視してひたすら走った。そして名前も知らない場所で目眩がしながらも歩き続けた。体の感覚がなくなった頃にうつ伏せの状態になり、バタリとその場に倒れた。もう私には、生きる術が無かったのだ。「どうかこんな私をお救い下さい。」そうすると、見たこともない光に包まれた。また二度も、意識を失った。
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