息子のお見合い写真​

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

息子のお見合い写真​

 息子が1枚の写真をもってきた。  写真をみると一人の女が写っていた。年は30歳近くに見える。ピンクのスーツに髪はショート。なんかダサい。色は黒めだし、げじまゆ。ややつり目。気が強そうで息子を尻にひいてしまいそうだ。 その上痩せぎみで子を産めるのかって感じの女だった。 「何これ、見合い写真。返してき!」 と写真を息子に投げつけた。 「もうお見合いはすんで結婚する気だから俺」 ​  1週間後挨拶にくるからと、さらっという息子。 ​  なんだって、お見合いした? 1週間後家につれてくる? ​ 「わかった、準備しとくよ」 ​ と夫は勝手に承諾した。  いつお見合いしたんだ?  見合いした話しなんてきいてない。  私嫌だこんな娘 ​ 「人を見てみないとわかんないだろう? この娘、外国人らしいよ」 と夫が言った。  はぁ?なんだって外国人?  もう1度まじまじと写真を見る。  見た目は私達と変わらない。中国人なのか? 「日本人だって。忍耐強く意志が強そうだし、頭もよさそうだよ。息子より学歴もあるじゃないか」 と夫が説明してくれた。 「学歴があるって、私息子をないがしろにしそうな娘なんて嫌」 「息子が優柔不断だからちょうどいいね、いい娘だそうだよ」  夫の話している様子をみると、すでにいろいろ知っているようだ。 「こういう娘はうちの家門にはふさわしい」  居している舅もこの写真を見て賛同する。 ​ どこを見てうちの家門にふさわしい?ふざけてるんか。 「お義父さん、本家の嫁に外国人なんて」 と私は心の声をおしころしながら訴えたが、私の必死のうったえを誰もきいてはいなかった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!