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3階のカラオケ店に入り、一旦部屋を取ってから、店内の通路を歩いてカラオケルームを見て回った。
「いた!……」
かすかに音楽が聞こえてくる部屋のひとつ、とうとう大翔と女の子を見つけた。
「どうする? 入る?」
「待って。もう少し様子を見たい」
私は壁にもたれた。
「待ってる間に、気づかれるんじゃない?」
さとみも私の横で壁にもたれ、少しだけ焦ったように言う。
ここまで尾行してきたものの、これからどうしたらいいのか、私にはわからなかった。大翔と女の子が仲良く歌っているからと言って、浮気現場を押さえたということにはならないだろうし……。
「ねえ、祐華さん。ここに大翔とふたりで来たことある?」
「え? あるよ、さとみさんもあるでしょ?」
「大翔、必ず歌う曲があるよね?」
「……ミスチルの『抱きしめたい』」
私の耳に、まさにその歌を歌っている大翔の声が聞こえて来た。
たまらず思い切りドアを開ける。
部屋に踏み込んだ私とさとみの姿を見て、驚愕する大翔に私は言い放った。
「卑怯者! 自分は泥被らんと、私と別れるつもり?」
「なんなの、この子? 私とヨリ戻したいんじゃなかったの?」
さとみも、ほぼ同時に叫んだ。
大翔と女の子は、口をポカンとアホみたいに開けたまま固まっている。
私はテーブルにあったコップの中身を大翔の頭からぶちまけた。
「ぎゃっ! 大翔さん、この人たち誰‼︎」
あわてふためき、おしぼりで大翔の顔を拭いている女の子に「失礼しました」と声をかけて、私は部屋を出た。さとみは無言で私について来た。
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