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屋上の入り口の扉に曲がったヘアピンを差し込み、いつもの要領でくっと力を入れると鍵は簡単に開いた。後ろで見ていた千歳が「へー」と感心したような声を出す。
「そんな技術も持っとったんか。」
「入学後半年かけて習得した。」
「………執念やな。高いところが好きなんか?」
「高いところ…というよりも静かなところが好きなんだよ。ここ、他に誰も来ないから。」
そう言って一番日当たりのいい定位置に胡坐をかく。千歳は真昼の太陽に向かって長身をさらに伸ばしてぐぅっと伸びをし、おれの近くのフェンスにもたれて座った。
「じゃあありがたくいただきます。」
そう言って手を合わせると、千歳は可笑しそうに表情を崩した。
「そういうとこは律儀やな。まぁ、沁みついてんねんやろうなぁ。」
「?」
なんだか楽しそうな千歳を横目で見ながら、おれは青い布をほどいて弁当箱を開ける。真っ白なごはんと、綺麗に巻かれたふんわりとした卵焼き、柔らかそうな山菜の肉巻き、さらに竹の葉に包まれた川魚の塩焼きまで入っていた。
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