弁護士相談1

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 このように何が真実なのか情報が錯綜している中、私には印象に残る書き込みが2つあった。  まず、中国人弁護士は同胞を訴えないというものだ。 『中国人は、同じ中国人を訴えるとか、絶対しません、同胞の絆ものすごい国なんです』  戸田が中国人は仲間意識が強く、一旦信用を勝ち取れば決して裏切らないため、かえって信用できると言っていたことを思い出す。  中国人の反日感情はたしかに存在する。戦争で日本が中国に対しひどいことをしたのは事実なのでやむをえないところはある。だが、関係のない場面で公平性を欠くのは違うであろう。なのにこの国には国を挙げての人種差別、自国贔屓を散々見せつけられてきた。弁護士といえど日本人に不利な扱いをしてきても何ら不思議ではない。  もう一つ引っかかったのは、10年前の投稿だが、奇しくも青島の不倫相手に訴訟を検討中だという奥さんの相談と、それに対する回答である。 『日本で裁判を起こしても、公判開始の特別送達を相手に届けられないので、公判が開始できません。  中国で裁判を起こした場合、公判のたびに中国に行かなければなりません。  どこの国の裁判も同じですが、原告や被告が欠席した場合、欠席者は相手の主張を全面的に認めた事になり、敗訴が確定します。なので、欠席は絶対に出来ません。  無事に中国で裁判が起こせても、出廷の為に訪中しようとした時に入国妨害されたら、それでアウトですね。  裁判日程が出た後、匿名で税関に嘘の密告をすれば、簡単に入国を阻止できます。入国できずに裁判が開廷されれば、欠席裁判になって敗訴確定。  そんな訳で、マジで中国で裁判するなら、提訴開始から判決終了までの間、中国から帰国しないつもりで事に当たる覚悟が必要。下手に日本に戻ったら入国妨害されてアウトになりますからね』  そんな一個人が空港や警察を動かせるものかと鼻で笑いつつも、国ならやりかねないという思いがどうにも打ち消せない。  むろん、便所の落書きたるネットの書き込みを鵜呑みにするつもりはない。ただ一応心の片隅に留めてはおいた。
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