Awareness 8

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Awareness 8

「いただきまーすっ!」 ママがコンソメスープと野菜サラダを作り足してくれて、4人で久々に食卓を囲む。 「お!これまた美味いカレーだなぁ~、2人で作ってくれたのか?」 「ん~!美味しい!具が細かくてトロトロしてて私好きだわぁ、これ何のルー?いつもの??」 パパもママも辛いの好きだもんね~、私も好きだけど。 「全部お兄ちゃんが作ってくれたんだよ。私は辛口の方の味見しただけ。ねー、お兄ちゃん?」 「材料刻んで肉は圧力鍋に入れただけ。ルーは棚にあったいつものやつ。」 首を傾げて隣に座るお兄ちゃんを覗き見ると、こちらを見ようともせずにパクパク食べている。 ええっ?! さっきのデレはどこに行ったんだ?!(消えた?!) 「あら、明希が作ってくれたの?珍しいこともあるのねー」 「そうだ、パパ今度アレ食べたいなぁ!マカロニグラタン!俺の好物なんだよ!明希、楽しみにしてるなぁ^^」 「じゃあ…また時間がある時に…。」 あっ( ˙˙ ) それなら来週のパパの誕生日にグラタン作ればいんじゃない?? ケーキも焼くし、うんうん、いい考え! あとでお兄ちゃんに話そーっと♪ 「ねぇ、おにぃ。その星の王子さまみたいに甘そうなカレー食べてみたい」 「…お前、今サラッとバカにしたよな?」 「してないよ!いいじゃん、ちょっとだけ!ねっ?!いただきまーす♪」 自分のスプーンで一口すくい取らせてもらうと、何とも懐かしい辛味のないカレーが口いっぱいに広がる。 甘い!学校の給食を思い出したよ、今…!! カレーの甘さに気を取られていると、私のサラダの器に人参の薄切りをポイポイと入れてくるお兄ちゃん。 「〜〜〜ちょっと!おにぃ、にんじんっ!」 「俺の身体はもう人参を必要としていない。だからお前にやるよ」 「はえ?!意味わかんないし!もー、なんなのー?ただ嫌いなだけじゃんっ」 「嫌いではない。必要ないだけ」 「いや、そこ強調する?!」 もーーー、そういうとこ謎に子供っぽい。 寄せ集められた人参も全て食べ終えるとみんなより先にご馳走様っ! 録画してたドラマの続きを部屋でゆっくり見るためにーー! こないだ良い所で終わったんだよね! ずっと見たかったんだよーー! チャッと器を重ねて自分の食器を下げると「伊吹ちゃん!置いといていいからねー!」とママに声を掛けられる。 今日はお言葉に甘えちゃお!ママありがと~! 携帯を握りしめてひょこひょことリビングを出る。 あー、階段の昇り降りはさすがにツラいなぁ。 膝の傷口に響きます……。 部屋に入ってカーテンを閉め、テレビをつける。 再生、再生っと…………あー、お茶持ってくれば良かったぁ。 今昇ってきたばかりなのにまた降りるの面倒くさいなぁ……。 でも絶対ノド乾く。 はーーー、取りに行きますかー。 本当私こういうとこ要領悪い(>_<) リモコンの一時停止ボタンを押して階段を降り始めると、リビングから電話をしながら出てきたパパ。 「んーと、その件はねー、部長に確認してもらってからじゃないと出せないやつだから~…うんうん、あれ?佐々木くんのデスクにさ……」 何やら仕事の話かな?? すれ違いやすいように壁へ寄る。 パパは私の横をウインクしてすり抜け、バタバタと階段を上がると寝室に入っていった。 実の娘が言うのもアレだけど、パパってそういうとこ爽やかなのよね……。 ウインクって……会社でもあんなんなのかな……。 とにかく、帰ってきてからも仕事の電話なんて大変だぁ! なんて思いながらリビングのドアノブに手をかけると お兄ちゃんとママの会話に身体が冷えた。
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