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Awareness 7
ピンポーン!
ガチャガチャ…
「たっだいまー!明ーー希ーー?伊吹ちゃーーーん?2人ともいるのおーー??」
た、助かった…!!!
ママが帰ってきた……!!!玄関先でめちゃ叫んでる!
「あーーきーー、ちょっと、これ運ぶの手伝ってくれえーーー」
パパの声も!
チラッとお兄ちゃんの顔を見下ろすと、ぺろっと舌を出して何だか私を小馬鹿にしたような表情……。
え?!何なのその余裕そうな顔!
ていうかお兄ちゃん!いい加減起き上がらないと!
「はぁーーい!パパ、私いま行……」
跨っていた体勢から立ち上がろうとするのに私の手首を掴んだまま離してくれない。
ちょっと!
冗談でしょ!?離して!!
昨日に引き続き、寝そべってるお兄ちゃんに馬乗りになる私ってどういう状況よ!
こんなん2人に見られるわけにいかないよ!
「(ちょ、おにぃ!パパたち来ちゃう!手離して!)」
「マッサージはもう終わりかよ?足りねえな」
「(ふ!ふざけてる場合じゃないってば!ヤバイよ、この体勢!)」
「一応ヤバイって自覚はあったんだ」
「(ええっ?!)」
「俺は別に困らないけど。この状況で詰められるのは明らかに兄を組み敷いてるお前だし」
「(なっ……!!)」
飄々と微笑むお兄ちゃん。
確かに馬乗りになっている私の方が責められるであろう体勢。
「(も、もう冗談言ってる場合じゃないって!!本当にマズイってば!!)」
「フッ、顔怖ぁ」
やっとの思いで解放され、バタバタと大袈裟に玄関へ向かった。
顔が熱い。それを誤魔化すように満面の笑みでお出迎え。
「パッ、パパママおっかえり~!………ど、どうしたの?その重たそうな荷物」
「伊吹ちゃんただいま!ちょうど今玄関先でクロネコヤマトさんとバッタリ会ったの、結構大きいダンボールで届いたのね~。お気に入りのアイスワイン箱買いしちゃった☆パパ、これ玄関に置いといてもいいんじゃない?」
「いやー、でも玄関だと何だかごちゃごちゃしないか?とりあえずキッチンの方に避難させよう。
伊吹、明希は?靴あるから帰ってきてるよな?」
「お、お兄ちゃん…?いる、いる、いるけど……」
いるけど……。
いるけど…………。
「「……けど???」」
きょとんとした顔のパパとママがお互いを見合わせる。
「─────おかえり。
何か頼んだの?どこへ運ぶ?」
背後から急に降ってきた穏やかな声に、肩がビクンッとなる。
……耳っ!耳元!!
私が耳弱いの知っててやってる…!!
お兄ちゃん、私のすぐ後ろに立って絶対コレわざとじゃん!反撃のつもりだ……!
うろたえる私をよそにバタバタとダンボールを運び入れるパパとお兄ちゃん。
ママは「このにおいはカレー?おなかすいた~!」とニコニコで靴を揃えてる。
もう………!!
どういうドキドキかわからないけど、とにかくお兄ちゃんにドキドキが過ぎる…!
…………過ぎるー!!!
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