十六回目の真実

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「で、何のためにゲーセン」 「もちろんUFOキャッチャー!」 「ああ、なるほどね」 「オンラインキャッチャーでかなり上達したと思うんだよな。ってことは実際やってもイケるんじゃないかってことを検証するため」  オンラインキャッチャーというのは名前通り、インターネットでできるUFOキャッチャーのことで、会員登録すれば誰でも気軽にプレイできる。サイトも一つや二つではなく多くのメーカーが様々な景品でプレイヤーを誘っているのだ。  毎日ログインすることでポイントが貯まり、そのポイントを利用することで、プレイ可能になる。無料でできる練習台もあるし、ありふれた景品か貴重な景品かでもプレイするために必要なポイントは変わってくる。  数百から数千の景品があるので、由偉も翔太もこのオンラインキャッチャーという遊びに密かにはまっていた。景品をゲットできれば、送料無料で自宅まで届けられるので大変便利だった。  はっきりとは聞いていないが、翔太はお小遣いから課金までしているらしい。オンラインキャッチャーの申し子だと由偉はこっそり彼にあだ名をつけていた。 「なるほどね。でもオンラインとリアルじゃ全然違うと思う」 「基本は一緒だろ?やることはさ」 「そうだけど、オンラインはカメラが何方向からも映し出してくれるし、客観的に見れるんだよな。でもリアルだと欲が出るという何というか……」  珍しく言葉に詰まる由偉。 「ということは気持ちの問題ってことだよな?俺は無心でやってのけるぜ!」 「んー、まあいいけど。俺はしないよ」 「いいよ、いいよ。見守ってくれてればいいから。助言もよろしく」  翔太はさっそくUFOキャッチャーの列を歩き、ほしい景品、もしくは取れそうな感じに動いている、つまり初期位置にない景品を物色し始めた。
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