突き落とし事件

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突き落とし事件

 1  昭和四十七年、四月。  街中に春の新しい風が吹き抜けた。四月始めの青白い光が街の中を照らす。静かな優しい陽差しに眠くなる季節。  ピンクのソメイヨシノも、豪勢に春の色を演出させてくれる。満開の時期を過ぎ、淡いピンクの花びらが雪のように降り始めた。  優しくて甘い桃色が空気の中に霞んでいるようだった。  朝は、新しいピカピカのランドセルを背負った小学生が、爛々と目を輝かせ期待を持って、歩いて行く。  そんな新学期を迎えて数日経った今日。
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