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「璃子もそう怒るなよ。プリンならオレが後で買って来るから・・・それでいいだろ?」
「まぁ、朔哉さんがそう言うなら許してあげてもいいけど・・・でもね、蒼哉のヤツ、これっぽっちも悪いなんて思ってないのよ。私はそれが許せなくて・・・」
「人に食われたくなかったら、プリンに名前でも書いとけよ。何も書いてねーもん、オレに食われたって文句言えねーだろーが。」
「ムムム・・・何ですって?この金髪バカ男が!アンタ、人が大事にとってあったプリンを無断で食べておきながら謝罪の一つも言えないわけ!?もう琴子さん、こんな男とっとと捨てちゃいなさいよ!あなたにはもっと素敵な男性がお似合いなはずよ!」
「何だと、璃子!?」
思わず立ち上がってしまったオレを制しながら、琴子が璃子に向かってペコリと頭を下げる。
「すみません、璃子さん・・・後でゆっくり言って聞かせますから。」
「は?何をだよ、琴子。」
「とりあえず!璃子さんは今、大事な時期を迎えてるんですから。プリン一つであーでもないこーでもないなんてやってる場合じゃないでしょ?ホントはあなたもすごく楽しみにしてるくせに、暇さえあれば璃子さんをからかって・・・もうホントにどうしようもない人なんだから。」
「・・・・」
いつになく、琴子の目が怖い・・・
オレは、それ以上何も言うまいと口を閉じると、大人しくその場に座り込んだ。
「ハハハ・・・すっかり琴ちゃんも蒼の上を行くようになっちまったな。ま、その方が上手く収まりそうな気はするけど。」
「うるさい、クソ真面目!」
たしかに・・・ずっと楽しみにはしてるんだけど。それで璃子が変わっちまうと思うと・・・何だか急につまらなくなるというか、何というか・・・
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