27-12

1/1
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/233ページ

27-12

「ユウセイさん、式やろう。あたし、しおんちゃんのドレスなら着たい」 「俺のタキシードは?」 「それはそこらで買って来て」 「おいおいおいー!」  ユウセイがツッコむと、3人は笑う。 「ま、それは後から考えます。俺、正直メンズあんまり得意じゃないから、得意な人探しときます」 「頼むよー。あんま落差あると、流石に俺も悲しいわ」  どんな招待客が揃うだろう。その場では、もしかしたら笑顔のタイジが見られるかもしれない。そう思うと、しおんも楽しくなって来る。  きっと、楽しい日になる。  にこにこしている和馬の顔を見る。彼も、まだ付き合いの浅い彼らを心から祝福してくれている。 「ねぇ、裕奈ちゃん」  小さな声で聞いてみる。 「なに?」 「幸せ?」  彼女は、少女のようにはにかんで、そして頷く。 「うん」  鮮やかな花が咲きこぼれるように、彼女は微笑んだ。
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!