Ⅷ 銀の弾丸(シルバー・ヴァレット)

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 しかし、人間もヴァンパイアも元来、欲深いもの……そんな心配をしつつも、こうしてうまいことお宝を手に入れることができるとなると、またさらなく欲望が湧いてくる。  私はふと、思ったのだ。  今回、ストーカーはヴァンパイア退治に効果があると思って、銀貨を溶かして銀の弾を作ってきた。ならば、もしも彼が「金もヴァンパイアの弱点」だというようなことを聞いたりなんかした場合には、今度は金で銃の弾を作って、私の身体にその金の弾を撃ち込みに来てくれるのではないか?……と。  ……いや。〝金〟といえば、銀よりも高価な貴金属。それに錬金術では太陽の象徴とも考えられる物質だ。  とすると、もしかしたら銀の弾でも効かなかった時のことを考えて、今夜もうすでに金の弾も用意して来てくれている可能性もある……。  いずれにしろ、これはちょっと誘ってみる価値はある。  この財政逼迫した苦しいみぎり、お金儲けに通じそうなことはなんでも試してみなくては! 「ちっきしょう! この亡者めがっ! 何発、銀の弾を食らえば気がすむんだ!」  よりいっそう効率のよい一攫千金の夢…というか、あわよくばの欲望に胸を躍らせる私は、なおも銀の弾丸を撃ち込もうと銃を構えるストーカーに、血の滴るおどろおどろしい顔をいやらしくニヤつかせながら、こう、言ってみた。 「ああ、怖い、怖い。銀の弾怖い。ついでに私は、()の弾も怖い」  お後がよろしいようで……(礼)。                           (銀こわ! 了)
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