終章 月ト芒ノ舞

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 ゼロから……。  アイツの口から出ているとは思えないほどの丁寧語だ。  ……いや、実際に出しているわけではないか。  とはいえ、これはチャンスだ。  この機会を生かし、『命』のレッドフラグメントになればいい。  でも、問題なのは……次回は、俺1人だけだということ。  莉花もいなければ零もいない。  そんな状況で――1人で、やっていけるだろうか。  ……いいや、弱音を吐いてはいられないか。  こんな臆病者じゃ、いつまで経ってもレッドフラグメントになんかなれない。  心を、改めよう。  封筒に入っていた花札を、俺はじっと眺めた。  この花札が――恐らく、今度は実験の始まりとなる。 「……勿論、参加してやる」  3月5日。  冬が散り、春が咲き始める頃だ。  ――面白い。  やってやろうじゃないか、2回目の実験。  これは、夢ではなく現実。  駄作人たちが実験に挑む、物語。  ――そして実験が今、始まる。
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