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recollections/episode 09 2/2
からん、ころん。砂利道を二人して慣れない下駄で早歩き。
背後でまたドンッと大きな花火が上がり、周りの人は皆一様に空を見上げている。それなのに結人は駅の方をじっと睨みつけるように見据えて歩き続けるし、友晴は結人のふわふわ跳ねる癖っ毛と逞しい背中をじっと見つめて後を追う。
河原で立ちあがった瞬間にぎゅっと握られた手は繋がれたまま、しだいに手に汗が滲んできて「ごめん」と離そうとしたら「なにが」と結人はわずかに振り返りいっそう強く手を握ってきた。
「手、気持ち悪いかと思って」
「どこが?」
「汗かいてるし」
「そんなの俺も同じだし、大丈夫だよ。むしろ友晴さんが気持ち悪い?」
「いや、僕は別に……」
「でも気になる?」
「……うん」
「わかった」
「え……」
うそ。刹那手が解かれて、自分から言い出したくせに傷ついてしまう。そうしたら結人はすぐに反対の手を差し出して友晴のぶらりと下がっていた方の手を握り直してきた。
「これで大丈夫」
ね、と微笑む。君の優しさに僕は何度泣きそうになるんだろう。
「……ありがとう」
「んーん、俺が繋いでたいから」
「……僕も、離したくなかった」
「一緒だ」
「ん、一緒だよ」
だから、はやくいこう。
それからは二人とも黙って駅まで歩いた。まだ花火は始まったばかりということもあり、行きとは違って駅までの道も駅のホームもほとんど人は見当たらない。がらがらのホームで誰の視線も気にすることなく手を繋いだまま電車を待った。
「友晴さん、ここからも花火見えるよ」
「あ、ほんとだ」
河原で見た時よりずっと小さいものだったが、ドンッドンッと反響する音に遅れて花が咲いては散っていく。
「なんかホテル泊まって、お酒と食べ物買い込んで花火見る人もいるんだって」
「へえ、涼しくてよさそう」
「ははっ、友晴さんほんと暑いの嫌いだね」
「君だってそうだろう?」
「まあね。でも、俺は涼しいってことより、友晴さんと二人っきりになれるからホテルで花火ってのもいいなって思うよ」
「二人きりか」
「いいでしょ?好きなだけいちゃいちゃできるよ」
外にいたって好きなだけいちゃいちゃした気がするけどね。
くすくす笑うと「いちゃいちゃしたくない?」と的外れなことを聞かれて「したいよ」と結人の肩にもたれる。
「浴衣は?」
「着ればいいんじゃない?テンション上がる」
「そうだね」
「着るのも脱ぐのも俺がやってあげる」
「下心が見え見えだ」
「俺はずっと下心ばっかりだよ」
「そうなの?」
「うん」
友晴の頭に自分の頭をこてんと乗せて、ぐりぐり擦りつけてくる。
「だって、友晴さんの浴衣めちゃくちゃえっちだし」
「そうかな」
「そうだよ。うなじ齧りたいし、首筋吸いたいし、袷開いてまさぐりたいし」
「公共の場で何言ってんだ」
「誰もいないよ」
「……そうだけど」
遠くの方から小さな光がきらりと夜の闇を裂き電車がゆっくりと滑り込んでくる。乗っているのは休日出勤の会社員ぐらいで、車内はどこだって座れるのに迷わず隅っこに二人並んでくっついて腰かけた。空調がよく効いていてちょっと寒いぐらいで、お互いの体温を確かめるように繋いだ手を何度か握り直す。都心に近付く程少しずつ人が乗ってきて、結人は背中に差し込んでいた団扇を取りだし、そっと繋いだ手の上にかざした。白い犬がじっとこちらを見つめてきているようで、ふっと噴き出したら「どうしたの?」と結人が顔を覗き込んでくる。きょとんと見返す様子が重なり余計に笑ってしまった。
自宅の最寄り駅に帰り着き二人で友晴の家までの道を歩く。もとから今日は泊まるのかなとは思っていたが、結人の様子からしてあえて聞くまでもなさそうだ。
「結人、待って」
「どうしたの?」
家まであともう五分ほど、というところで立ち止まる。
「鼻緒が取れた」
「あ、ほんとだ。下したてじゃなかったっけ」
「うん。でもだいぶ歩いたし、履き癖のせいかな」
一時小走りになっていたせいもあるだろう。右足の鼻緒の片方の端の結び目が解け、底から抜けてしまっていた。
「結び直せばいいから」
「待って友晴さん」
「ん?」
「靴擦れしてる」
「……あ、本当だ」
近くにあった壁に寄り掛かって足を持ち上げ下駄を脱いでみると親指が靴擦れで赤く腫れていた。
「全然気づかなかった」
「痛くなかったの?」
「別に」
「うっそだ、こんなの絶対痛いよ。水ぶくれやぶれなくてよかったね」
「そうだね」
結人はとても心配していたが、実際のところあまり痛みを感じていない。言われてみれば痛いかな、ぐらいだ。痛みに鈍い方ではない。これはきっと今日一日ずっと気持ちがふわふわしているから。痛みも忘れるぐらい楽しかったから。
「平気だよ」
「だめだよっ、また適当に結んで履いたら破れるよ」
「でも……」
「ほら、友晴さん」
「え……」
はい、と結人はその場で背中を向けて屈んでみせる。乗れ、ということだ。
「いや、いいって。すぐそこだし」
「よくない。俺がいやなの」
「でも」
「この前もしたでしょ」
「あの時は酔ってた。素面でなんて無理だっ」
「無理じゃない」
「ちょ、結人っ……」
結人は友晴の手から下駄を奪い取り、手を引いた。断る隙もなく背中に身を預ける。すぐにふわっと体が浮いて結人は歩き出した。
「痛いの無理しちゃだめだよ」
「無理は、していない」
「してるでしょ。散々歩かせた俺のせいだし。友晴さんのペースに合わせてなかったし」
「君のせいじゃないよ」
「たとえそうだとしても、ごめんね」
「……気にしなくていいのに」
浮かれていたのは僕なんだから。
結人に背負われて、裸足になった右足が今更じんじん痛み出す。それはきっと結人の体温を感じて体の端から端まで熱が上がってしまったから。触れている場所も、そうでない場所も結人を近くに感じた途端忘れていた感覚が呼び覚まされる。
家に着きそのまま風呂場に運ばれて「足洗ってて」と言って結人は先へ奥に入って行ってしまう。言われるままシャワーで軽く足を流しているとクロがにゃーにゃー泣いて結人が「わかったって」と答える声が聞こえた。すっかりこの家にもなじんだものだ。
足を拭いてからリビングに戻るとクロは餌を食べ終わりソファの上で眠っていた。結人はクロを撫でていたが顔を上げ「絆創膏ある?」と問うてきた。
「えっと、キッチンの引き出しに」
「わかった」
自分で取りに行くより早く結人がキッチンに向かい絆創膏を取って戻ってくる。そのまま渡されると思ったら「来て」と手を引かれ、寝室に連れられて行った。
「結人」
「ごめん、もう待てない」
「え……――ンッ……――っ」
バタン、とドアが閉まった瞬間抱きすくめられ、口付けられた。ただくっつけているだけなのに、離れたくない、というようにぴったり合わさったまま時が流れる。一分ほど口付けていただろうか、名残惜しげに互いの唇がすこしずつ離れ、ちゅぱっと音がした。
「足、痛いよね。付けたげるから、座って」
「……わかった」
すっかりこのまま押し倒されると思っていたのに結人はベッドの上に促すと律儀に絆創膏を剥いている。口付けている間、押し付けられた下半身がすでに兆し始めていたのを知っているのに、どんな顔をしろって言うんだろう。
「足、出して」
「ん」
背負われていたせいで既にすっかり肌蹴た袷から右足だけ差し出すと結人は踵から掬い上げて丁寧に絆創膏を指の股に貼る。その視線の先には晒された太腿と結人と同じく兆し始めた自分のそれがあり、はっと気づいて足を降ろそうとしたがびくともしなかった。
「俺ね、友晴さんの足って綺麗だなって思ってた」
「何、突然」
「指の一本一本綺麗だなって思ってて、一度じっくり触りたいなって」
「っ……」
するり、と踵から足首に指先が滑り、ぐっと引き寄せられてわずかに体が傾ぐ。まさか、と思った時には結人の赤い舌が足の裏をべろっと舐めていた。
「結人っ……なにしてっ」
「ん……――舐めてる」
「そういうことじゃな……ッ……――あっ」
「……気持ちいいんだ」
「ちがっ……――ぁっ、ぅあっ……」
左足も掴まれて、身動きが取れないまま足の裏から指の先までべろりと舐められ、指の股をなぞっては甘噛みされてざらざらとした舌が皮膚を撫でる。
こんなの知らない。知らないのに、知らないから、体がどうしてこんなに期待して震えるのか、どんどん熱くなるのかわからない。抗えない。
じゅるっじゅるるっとこぼれた唾液をすすりながら、結人は丹念に足を舐めていく。
「っ……ん……――ふっ」
「ぁっ、んっ……――だ、めっ……あっ!」
不意に足の裏を舐めていた舌先がつーっと足首を伝い太腿に辿り着くとじゅっと薄い皮膚を強く吸った。くっきり赤い痕が残り、結人はいくつもいくつも同じように太腿を吸っては舐めてを繰り返す。浴衣の袷はすっかり開かれ結人の唇が足の付け根に辿り着く頃には大きく脚を開かれていた。
「友晴さん、ここ、染みてる」
「ッ……あっ!」
ふっと吐息を噴きかけられて高い声が漏れた。結人はくすくす笑いながら下着に手をかけたが、そのまま脱がすことはなく布越しにべろり、と形をなぞる。
「っあ……ンッ、あぁっ、あっ、やだっ……ぁっ」
「ん……ぐしょぐしょ」
「ふぁっ、――ンッ……ああっ――ッ」
布一枚隔てているのにかえって結人の舌の感触を鮮明に感じてしまい、舐められるたび蜜が溢れ唾液と合わさってどんどん下着が濡れていった。
「ゆ、みひとっ……っぁ、んッ――たのむからっ」
「なに?」
「ッ……」
じっと熱を帯びた瞳が見つめてくる。ちゃんと言って、とねだるように。だめだ、理性なんてとうに失った。
結人の髪の毛に指先を滑り込ませ、「はやく」と撫でる。
「ちょくせつなめて」
「っ……はーい」
「――ッ……あっ、やっ……んっ!あ、ああっ!」
いっぺんに下着を太腿まで引きずり下ろされ、ぶるんっと出てきた竿を口の中に包み込まれた。ねっとりとした唾液と舌が亀頭を撫でくすぐる。時折じゅうっと吸われながら余った部分を掌に包まれて扱かれた。強すぎる快感は体も頭の中も痺れさせ、結人の顔を太腿で挟んで髪の毛を引っ張り快楽に耐える。
「あっ、アッ、ンッ、んんッ――……っ、あっああっ……はっ、あ?!」
あともうすこし、もうすこし、というところで唇は離れていってしまった。
「なんで」
「うしろ、ほぐすから」
「あ……」
このまま自分だけいかせてほしかったなんて。先走った感情に恥じて顔を腕で覆っていたら「いきたかった?」と言い当てられてますます顔が熱くなる。
結人はベッドサイドに置いてあるボトルを引っぱり出し、掌の上に水溜りをつくった。こねて、撫でて、温めて。ぬちぬちといやらしい音が結人の手の間から響いたが、さして気にならなかった。そんなことより申し訳なさの方が溢れてしょうがない。
「ごめん、僕ばっかり」
「そんなことないよ。俺は友晴さんの声だけで結構きた」
「そ、うなの……」
「ん、ほら」
「っ……!」
ひらっと結人は自分の浴衣の袷を捲って見せる。下着の中に納まりきらず、ぎちぎちに腫れたそれを見せつけるように結人はそのまま下着を脱ぎ捨てた。残された帯を鬱陶しげに解こうとするから「僕がやる」と友晴は手を伸ばした。
「友晴さん……?」
「君は、寝て」
「え?」
きょとんと見返す結人を押し倒し上に乗る。友晴は中途半端な位置にあった下着を脱ぎ去ると、体を反対に向けて結人に下半身を晒すように跨り、そそり立つ結人の昂ぶりを掌の中に包んだ。
「僕もやってあげるから」
「うそ……」
「嘘じゃない」
「――……っ」
結人に先ほどされたように、さきっぽを口の中に含みれろっと舐める。結人の体はびくっと震え、その反応が嬉しくてそのまま咥えられるところまで飲み込んだ。
「友晴さんっ……」
「ンッ……んぅっ……――ッ」
「っ……――もう、ほんっと……」
結人はこうしていた。こんな風に舐めていた。真似するようにこうだろうか、と探りながら口淫に耽る。その様子をじっと見つめながら、結人は眼前に晒された光景に息を飲んだ。先程結人が与えた刺激でとろとろと汁を溢れさせる性器と触れてもいないのに結人のものを舐めながらひくつく後孔にくらくらと眩暈すら覚える。折角与えられた機会を無駄にするわけがない。
ねばついた指先で友晴の尻を掴み、孔にひたっと這わすとそれだけで友晴の体はびくんっと震えた。
「ッ……んっ、ぁ、ゆ、みひとっ」
「舐めてていいよ」
「――っ……ンッ――っ、あっ、ンッ、ンンッ――……」
結人の指先がぐりぐりと孔をなぞり、じゅぷんっと沈みこんで体が仰け反る。一度口から離した性器をなんとか引き寄せてまた含んだが結人がどんどん中に指を進めてきて、もう咥えてはいられなかった。
「あっ、あうっッ、ンッ――……っ、あっ、ああっ……!」
「友晴さん、俺の握ってるだけでもいいよ」
「――ンッ、ぁっ……ンっ、あっああっ」
言われるまま掌で性器を包み込むと、中で指が暴れる度体が震え、それにあわせて友晴の指先にも力が入った。わずかに擦っているだけなのに結人のものはどんどん膨張していく。愛おしくて、たまらずべろりと舐めると結人が息をつめるのがわかった。
「ゆ、みひとっ、これ……も、いれて、もうっ……――」
「友晴さん、そのまま、こっち来て」
「ん……」
腕を引かれ、結人の方に向き直ると結人は勃ちきったそれに手繰り寄せたスキンを被せる。もうすっかり慣れたものだ、なんて暢気に考えていたら、「ね、おねがい」と結人はじっと見つめてきた。
「いれてみて」
「えっ……」
「手伝うから」
腕を引き寄せられ「ほら」と腰に手を回されてぴったりと先端と後孔をくっつける。ぬめりを帯びた孔は結人の熱に触れてひくんひくんと呼吸した。
「ほら、もう入りそう」
「でも」
「大丈夫、できるから」
「……ん」
「そう、じょうず」
友晴の方が年上なのにまるで子どもをあやすような言葉に羞恥よりも興奮を煽られる。先っぽがぐにぐにと中を押し拡げ、入った、と思った瞬間、下から突き上げられた。
「――ッあっ……!やっ、んっ……ああっ、だ、めっ……ンあっ」
「ほら、だいじょうぶ」
「ら、いじょうぶじゃないっ……ぁっ、ああっ」
ずぷん、じゅぷんっと何度か突かれ、正面から繋がった時とも後ろから抱かれた時とも違う感覚に体が震え、頭の先からつま先までぴんっと力が入ってびりびり痺れる。下から突き上げられる反動で体が後ろに傾ぎ、結人が腕を引いてなんとか倒れずに済んだが脚を大きく開いた状態のまま何度もなんども深く抉られた。
「あっ、あっ、あっ――ッんっ、ああっ、ふ、かいっ」
「友晴さん、えっろい」
「ンッ――……あぅ、あっ、ああっ」
最初は下から突き上げられるばかりだったのに、自然と腰が動き始めて気づけば自分が気持ちいいところに自ら押し当てるように腰を振っていた。肌がぶつかり合うのに合わせて友晴の性器は空中でふるふるっと震えて白濁が散る。肩から浴衣がずり落ち、肌が一気に晒された。
「こうしてると全部見えるね」
「ンッ……――あっ、はっ、はあ……――みなくて、いい」
「無理だよ」
腕からわき腹にかけて撫でられて、ぞくりっと肌が粟立つ。ぐっとまた腕を掴まれ下から突き上げられて体が仰け反った。
「友晴さん、ちょっと我慢して」
「えっ、……ンッ、ああっ」
ぐちゅんっと奥に突き挿され、結人は友晴を抱えるように起き上がり、反対に押し倒してきた。
「やっぱりこっちのが動きやすいね」
「へ……――ンッ……!――あっ、あうっ、ああっ」
結人は友晴の腰を掴み容赦なく注挿を繰り返す。友晴はシーツの上に投げ出した手をなんとか枕に伸ばして掴み与えられる愉悦に浸る。奥を穿たれればきゅうっと結人の熱を締め付けて気づけば「そこっ」とねだっていた。
「ここ?このへん?」
「あっ、ンッ――……そこっ、あぅッ、あ、あっ、んンッ……」
枕を掴んでいた手を結人の方に伸ばせば、結人の方から顔を近づけてきて、ぎゅうっと抱きしめ合って口付けた。ぬるんっと口腔内に舌が入り込み、上顎を擽られると中がきゅうっと反応して収縮し耐え切れず口を離してまた抱き合う。
「ッ……――ンッ、ぁ、……ゆみひと」
「なに」
注挿の合間、友晴は結人の手を引き寄せて、指先にちゅうっと吸いつく。
「ぼくはね、きみの、手、すき」
「えっ」
そのまま指の腹を舐め、ちゅっちゅっとキスを繰り返す。
「きみが、ぼくの足、好きって言うから」
「あ、え……なに、えっ?」
れろんっと手のひらを舐めて、人差し指と中指をちゅうっと吸ったら結人の頬がさっと赤みを増した。
「いつも繋いでくれてありがとう」
「っ……そんなのっ」
「ンッ……――」
ぐっと中に押しこむように結人は友晴を抱きしめ「いくらでもするよ」と瞼に雫を浮かべる。その様がどうしようもなく綺麗で、愛おしくて、友晴は滴が頬を流れ落ちる前にそっと瞼に口付けた。
「だいすきだよ」
「ん……うんっ」
だいすき。
指先も、掌も、唇も、瞼も、流れる涙さえ愛おしくて心が震える。
どうして人を好きになると涙が出るんだろう。好きと同じ数だけ、僕の中にも君の中にも涙があるのかもしれない。そうだとすれば、何度もなんども一緒に泣いて、涙も好きも分かち合いたい。
「友晴さん、キスして」
「いいよ」
繋がったまま、友晴の方からキスをする。何度も繰り返すうち、吐息と熱で眼鏡のレンズが曇り、二人してくすくす笑ってそれでもまたキスをした。
額から伝った汗がほんのりしょっぱい。
夏の味がする。
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