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私は死んだ
一回自分の葬式を一人で挙げてしまえばなんてことはない
死んでしまったも同然である
あはは! ただ働きして死んだのか!
バカだったなア。
幽霊になった私と
生きている夫の二人暮らしの昼食は
なんだかおかしい
幽霊になってもおなかがすくなんてねえ
死んでしまってもおなかって減るもんなんだね
もうこれから先
私は死んでしまったから
お給料なんて入んないよ
寝て、料理して、寝て、料理して、寝て、
ああもう終わった人だ
いい人生だったのかどうかはわからない
ただ私は
幽霊になっても詩を書きたいと願う
夫のそばにいたいと願う
私の名前が崩れていく
夫が私の耳元でささやく
「早苗、コーヒー飲むか?」
万年床で死んでいた生きた屍は
もう一度
今度は幽霊として生きようと
コーヒーをぐっと飲みほした
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