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異星人の宇宙船
「あれは……本当に宇宙船なの……?」
僕は探査ポッドの右席で驚きの声を上げたマリーを横目で見ながら前方の船体を見つめていた。
それは驚くべき発見だった。
三日前にダイダロス基地から二百五十キロ離れたクレパスで、無人偵察ドローンが宇宙船の残骸を発見したのだ。年代測定からそれは三百万年以上前に、この土星の衛星『タイタン』に墜落したものだと考えられた。
僕は相棒のマリーとその船体調査の為、宇宙船が埋まっているクレパスの深部に降下した。そして目前の損傷した船体を見上げながらポッドから外に出た。
その船体は見えている部分だけでも数百メートルの大きさだ。そして三百万年以上前に墜落した……。つまりこの宇宙船は……?
「異星人の宇宙船……」
僕達はそう呟き、顔を見合わせた。
「あそこから船内に入れそうよ」
マリーが指差した先を見ながら僕は頷くと、彼女と一緒に船体の損傷した割れ目から船内に侵入した。
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