1章:穏やかな交際のはずでした。

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どうしようかと困惑していると… 「風見!」 今度はどこからか 彼を呼ぶ声。 …と言うより、怒鳴り声に近い。 誰にしろ助かったよ。 呼ばれた本人と共に アタシも声のした方に顔を向けると 風見くんがさっきまでいた場所にジンの姿が。 溜め息交じりにこちらに向かってくる。 「ココにいたのか、まったく…」 「副編集長、すみません。  知っている方に逢ったので…」 呆れるジンに しゅん…と申し訳なさそうにする風見くん。 2人って 身長同じくらいなんだ。 「知り合いって…  え、お前か?」 相手がアタシだって事に どうやら不服らしい。 明らかに怪訝な表情で 何かを言いたそうにしている。 「セツナさんとは病院で偶然会ったんですけど  俺の就職先が同じだと聞いたから嬉しくってッ!」 純粋なキラキラした表情でそんな事を言われ 聞いてるジンは…わかりやすいくらい不機嫌だ。 だけど アタシ達の関係の事をこのコが知るはずもないから… 「セツナさんって私服も素敵ですが  スーツ姿もキレイですね!  美人すぎてドキドキしますッ」 悪気のない発言が嵐を呼ぶ。 「あの、風見くん…」 そろそろ止めようとしたら…
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