美里からの手紙

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一瞬、私と視線があった人物は、ニヤリと不気味に笑った。 何故、笑った……? 私は変装している。 分かるはずがない。 まさか、私だと分かっていた……? そんな事より、源さんの所に、何故アイツが来た? 私は、いつだって変装して源さんの所に来ていた。 しまった。 ミスを………している。 烏のタトゥーを入れる時、私は美里の店のドアから出た。 同じウィッグで…… 同じ化粧で…… 同じコートで…… 同じ鞄を持って…… 以前の私なら、そんな事はしなかった。 細心の注意をしてきたはずなのに…… 駄目だ…… 人と関わると、判断を鈍らせてしまう。 人と関わると、野生の勘も鈍る。
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