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そして、最近すこし慣れてきた大祐の笑える行動もある。 例えば、夕飯の後片付け。 食事を終え、いくつかの皿を手に真友子がキッチンに向かうと、      大祐が残りの片付けをするのは、いつもの事。 そして先週末は、大祐の好きな大学芋ときんぴらごぼうが食卓に並んだので、すごく上機嫌。 「僕さぁ、来週のお弁当に、大学芋ときんぴら持っていってもいい?」 鼻歌でも歌いそうなニコニコ顔で、皿を運んできた大祐に尋ねられる。 「うん。そのつもりで、沢山つくっておいた。 明日、鶏つくね作るから、それと一緒に朝詰めてね」 互いに仕事を持つ身だから、毎日の弁当作りは難しい。 それでも愛妻弁当を喜ぶ大祐に、余程の多忙期でない限り週明けの弁当だけは用意するように心掛けている。 そして意外にも、大祐は弁当詰めにハマったらしい。 だから月曜日は、決まって真友子の分も器用に弁当を詰めてくれる。 OKぇ。 歌うように答えた大祐が、そのきんぴらが入った鉢を手にキッチンに入って くる。 ところがそこで、彼は大きな「?」を浮かべた。 「あれ? ラップって無くなっちゃったっけ?」 だが、これに真友子が答える前に自問自答が始まる。 「いや。確か先週末に、新しいのを僕が出したんだ。 さすがに、そんな早くは無くならないよなぁ」 通常のラップの定位置である食器棚脇の前で、しきりと首を傾げる大祐を  横目に、真友子は思わず吹き出しそうになった。 だがそれを堪えて、ちょっとヒントを口にする。 「大ちゃん、冷蔵庫の中、見た?」
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