1.紫寮

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ふと腕時計を見ると短針は12時、長針は2を指していた。 「Gosh!(やばい)12時過ぎちゃった」 2人を見ると2人は笑顔で俺の肩をバシバシ叩いた 「心配すんなって!今日紡は用事で遅いはずだし」 「そうそう。あの腹黒に見つからなければセーフ」 紡さん...って偉い人? でもいないからって急がなくていいのかな... 楽しそうに鼻歌を歌いながら肩を組んで左右に揺れる先輩方を見ていると、階段から誰かが上がってきた。上がってきたのは小柄な男の人で俺と目が合うと口に人差し指を当てるジェスチャーを送ってきた 黙ってろってことかな? 微かに頷くとその人は俺に向かって笑顔で手をヒラヒラ〜と振ると双子に気づかれないように静かに背後に回った 双子の先輩たちに何も言わずに様子を伺っていると、その人は勢いよく2人の腰に手を回した 「うおっ!」 「うわっ!」 「へぇ...腹黒の僕に見つかったわけだけどその場合はどうするんだい浅葱、若葉」 「「....えっ?」」 双子の先輩達はゆっくり肩を組んでいた腕を降ろし、振り返った 「「キャーーーーー出たっ!!」」 「出たっ...じゃないよアホ兄弟。 12時までには食堂に来いとあれだけ言ったのに...しかも新入生を迎えに行くどころか足止めしてるとは 君たち3歳児かい?」 腕を組んで双子を見上げる先輩は威圧感があり、こちらが見下ろしているはずなのに冷や汗が止まらない もしかして、この人が紡さん? 「俺はピチピチの17歳児だお♡」 「笑える。」 謎の威圧感を放つ先輩をものともせず、小学生並の返事をする浅葱先輩とそれを見てニヤニヤする若葉先輩 その言葉にカチンときたのか 紡先輩?が浅葱先輩のネクタイを引っ張り、近づいた顔を右手で鷲づかんだ ほっぺを潰されたことで、口をつきだす状態になった浅葱先輩。目はヘラヘラと笑っており、反省する気配はない 「高3になっても治らないこの生意気な口はどうしたら良くなるのかな?」 「紡がちゅーしてくれたら良くなるかもよ?」 「ハハッ、笑える。紡、浅葱の口にち○こ突っ込んであげたら?」 「若葉。僕は1人じゃなくて2人に対して怒ってるんだけど?」 「真尋くん呼ばれてるよ」 「えっ?」 何このとばっちり。俺を巻き込まないで
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