プロローグ

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 プロローグ

 チッチッチッチッ……。静まりかえった部屋で秒針の音だけが響いている。60代の親は早寝早起きが習慣づいていて、もう2階の寝室だ。  椎名陽菜も部屋の電気を消し、目を閉じた。椅子に座ったまま両足を大きく開いて投げ出す。寝間着のショートパンツははいたまま、右手をゴムで覆われたウエスト周りから潜り込ませる。その手が下着まで到達すると、今度は人差し指で突起部分を探す。いともたやすくその部分に行き着くと、そこを中心に上下にこする。最初は優しく、ゆっくり。次第に激しく、強く。  でも、それだけでは物足りない。すぐに陽菜は、パンツの中に右手を差し込んだ。突起部分が湿っているのが分かる。さらに、その奥に指をやる。ぬるっとした感覚が手にしみついて、その感覚に陽菜は酔いそうになる。  今度は、指を充分に濡らしてから、直に突起部分に触れる。思わず声が出そうになって、とっさに左手で口を押さえた。もう皆寝静まっているのに、恥ずかしい気持ちは隠せない。それでも、動かしている指は止まらない。優しく。次はもう少し強く。強弱をつけながら指を押しつけ、こする。 「あっ」  もう押さえきれなかった。陽菜は言いようのない快感に襲われながら少しの間我を忘れていた。
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