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かの……
優しい声で呼ばれた気がして、ふわふわした意識のまま、とろとろと重いまぶたをほんの少しだけ持ち上げてみた。
どうしてなんだろう、こういうときってまぶたがあげられない。
昔はおちおち眠っていられなくて、目が覚めるときは一気に覚醒した気がするのに。
近頃は……特に、ハルさんの隣で眠っているときは、温かさのせいか眠気を払拭するのが難しい。
深く息を吸い込むと、めいっぱいハルさんの匂いがして嬉しくなってしまう。
どうしてハルさんの隣で寝てるんだっけ? ……とまぶたの持ち上がらないまま考えているうちに、先ほどの情事を思い出してしまった。
――かの……
ハルさんの呼ぶ声があまりにも甘すぎて、恥ずかしさで噴火しちゃいそうって時々思う。
でもそれは嬉しすぎるからのことで、こんなにお砂糖煮詰めてはちみつまでかけられたくらい甘い声で呼んでもらっていいのかなって心配になってしまう。
それでもこの幸せがなくなっていいなんて思っていなくて、いつまでも呼んでもらえますようにって祈りながら、ハルさんにできるだけのことを全部したいって思いながら過ごしている。
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