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終業後、一弥に連れてこられたのはジュエリーショップではなくて、普通のショッピングモールで、内心がっかりした自分がいた。
「ねぇ、何買うの?」
腕を掴んで聞いてみると、一弥はパジャマ、と答えた。
「うちで寝る度裸同然の恰好されても困るから。とりあえず二着くらい買ってうちに置いとけよ」
反論の余地もなく、黙ってついていく。それに、私のせいで一弥が眠れなくなるのは申し訳ない。
「で、それにするの? もっとかわいいのあるだろ」
私が選んだパジャマに不満があるのか、一弥は口をとがらせている。かわいいのって。ふわふわもこもこのルームウェアとかをイメージしているのだろうか。
「いや、これが一番寝やすいでしょ。かわいいの着る歳でもないし」
一弥の反対を押し切ってオーソドックスなシャツタイプのパジャマを二着持ってレジに並んだ。
「すみません、これも追加でお願いします」
お金を払おうとしているところに一弥がロングワンピースを持ってきた。それほど甘くなくて、着やすそうだとは思う。口を出す前に一弥はさっさと会計を済ませてしまった。
「俺しか見ないんだからかわいいの着たって問題ないだろ」
そう言って一弥はさっさと店を出ていってしまうので、仕方なく追いかけた。
「一弥、ありがとう。でも、私が払うよ」
財布を出そうとする手を押さえられる。
「別にいいから。その代わり、今日もうちに来て」
「……えっと、それは……泊まっていったほうがいいの?」
一弥の目が一瞬揺らいだ。
「できれば。その、エッチはしないから。でも、一緒に寝たい」
「わかった……けど一回帰ってから行くよ。明日の服とかいろいろ用意しないと」
ご飯は一弥の家で食べることになった。私が荷物を取りに行く間に用意してくれるらしい。
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