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いつもそれは淡々と進む一種の「決まり事」だった。
ゲームをしながらレイが作った新曲のデモテープを聞いてるとロビーの呼び出し音が鳴る。ゲームを中断して応対する。
しばらくするとインターホンが鳴ったから、よっこいしょと腰を上げ玄関を開ける。ヌルッと入ってくる金髪男。
「おつか……」
ドアが閉じた瞬間、唇を塞がれる。
レイはその時の気分によって、いつも攻め方を変えてきた。今日はどうやらムシャクシャした気分らしい。
立ったまま玄関の靴箱に押し付けられる身体。
シャワーを浴びた俺と違って、レイからは体臭とコロンの香りがする。
その匂いに興奮する俺。
押し付けられた下半身は怖いくらいにカチカチだった。
こんなのにいきなりされたら……
想像するだけで、あさましく身体が熱くなる。
俺は手を伸ばし、片手で器用にレイのベルトを外す。
カチャカチャと金具が鳴って、興奮がさらに高まる。ジーンズの中に手を突っ込み、すっかり立ち上がってるモノを下着越しに包んでやる。
「やる気満々じゃん」
「ここでする? ベッドがいい?」
荒々しいフリをしても、レイは紳士だ。
俺の嫌がることはしない。それがレイ。
夢中になってるフリしても、どっか冷静。
それがレイ。
「したいようにして」
「……それでは遠慮なく」
レイは俺をクルッと後ろ向きにすると、そのままグイグイ押しながら廊下を歩いた。
ここですればいいのに。
そう思う俺。
「ゲーム中断させて悪かったね」
「いいよ別に」
ダイニングテーブルに上半身を押し付けると、履いていたハーフパンツと下着が一気に下ろされた。下半身を剥き出しにすると、グイと広げ、レイがそこを舐める。
「んっ……っ……そんなの、しなくていいっ……からっ……」
レイが来ることはわかってたから、ちゃんとキレイにしてある。だからといって羞恥心は消えない。
「ユノ、他の男とヤってない?」
「ふっ……ん、ためして、みた……らっ?」
ヌメヌメした舌の動きが止まった。
レイが無言で立ち上がる気配。そして……
「あっ、はっぁ、はっっ……っ、んんっっ!」
「つっ……力抜かないと、ユノ」
シャツをたくし上げ背中を撫でる指。小刻みに与えられる振動と、入ってくるレイに圧迫される。
「せまっ……忙しいもんね。他とヤるヒマはないか……」
「そ、だよっ、バカやろ……んぁっ……」
「いいよ。やっぱユノがいっちゃん気持ちいい……」
それって誰と比べてるの?
よぎる思考に薄く笑う。
そんなこと、気にしてどうすんの?
付き合ってるわけじゃないのに。
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