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「よっ。」
「だから行かなくていいってばぁ。」
振り向くとそこには朝からハイテンションな松尾と、俺達と交わる事を拒んで松尾を引き留めようとしている南瀬の姿があった。
「今日は結果発表だね!」
「今ちょうどその話をしていたところだ。な?一咲。」
「ああ。」
「そういえばさっき何イチャイチャしてたの?」
「はあ!?してねえよ!何言ってんだお前。」
一咲は思わず声を張る。
「いやあ…こんな公の場でのゼロ距離な男子生徒2人はかなり浮いてたよ。」
「すまない…俺は一咲にやめるよう何度も言ったんだが…一咲が形振り構わず求めてくるものだから…。」
「おい!違うだろ!!俺が一体いつ何を求めたんだあ!」
「やはり攻めは電君だったか…。」
「お前も冷静に分析してんじゃねえよ松尾!」
騒ぎあう傍らで南瀬はひとり頭を抱えるのだった。
なんだかんだ言いつつも降車後は4人揃って学校までの道を歩くことになった。
緩やかな坂を上りきったところで一咲が突然思い出したように
「あ、そうだ。松尾、神林、ちょっといいか?」
と2人を近くに呼んだ。
「なんで私だけ仲間外れなのよ。」
じとーっとした目で南瀬がこちらを睨んでくる。
―俺が口を開く前に松尾が挑発してくれた。
「なあに?あっきー。仲間外れにされて寂しいのお?かまってちゃんなのかなあ??」
―ちょっとやり過ぎじゃないかとは思うが…。
「はあ!?興味ないわよそんな男の話なんて!先行ってるからね!」
と南瀬は期待通りの反応を見せ、さっさと下足室へ入って行った。
「で?どうしたの、電君。」
松尾は声をひそめて問いかける。
「あのな、少しお前らに頼みたいことがあるんだが…。」
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