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クラリスさんはアイリスとスィさんの所までゆくと、アイリスのグラスに酒をなみなみと注ぎ-- それを一気に傾けるアイリスである。
何をやってるんですか、何を!
案の定、耐性の無いアイリスは頭をグルグル回しながら、訳の解らない事を喋り始めた。
「どうしてスィさんとクラリスさんは胸が大きいの? 剣術が出来るから? 弓術を扱えるから?」
「そうだアイリス、無情かも知れんが剣術の腕と胸の大きさは比例する」
「アタシも同じ意見よ、弓が上手ければ胸も自動的に大きくなるの」
「ぐぬぬ……! 私、十二層目に籠もってもっと剣の修行をする! それからスィさん、私に弓を教えて!」
「甲斐甲斐しいと思わないか? 胸の大きさひとつで、人はここまで突き動かされるのだからな」
「弓の道は険しいわよ。 アタシの修行に耐えられるかしら?」
「絶対に弱音は吐かないけど、血反吐を吐いてでも付いていくもん!」
「凄いぞスィ、これは本気だ」
「えぇ、本気ね。 魔術、剣術、弓術、全て使える狂戦士の誕生よ」
「コロッと騙されてやんの。 やっぱ小娘はチョロいぜぇ」
アイリスがおかしな方向へ走り始めようとしてる!?
剣術は兎も角、魔術師の時点で弓の技術は要らないと思うんだけど……。
って言ったら、きっと平手が飛んで来る。 それも往復で何度も。
僕だって学習はするんだ…… 今のアイリスは生暖かく見守るしかあるまい……。
「あっ! お兄ちゃんが失礼な目で私を見てる! ひっく!」
「言い掛かりだよ…… どんな目さ……」
「何をやっても大平原は大平原のままだって! ひくっ!」
これはダメだ、被害妄想を拗らせて当分は元に戻らない感じだ。
君子危うきに近寄らず-- まだベルファンさんの傍の方が安全かな。
「さぁドクロ君! これが乾燥させたナッツの粉末だよ!」
「ああっ、ああっ! ビクンビクンなり!」
こっちも余計な事を始めてた!
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