十三層目の悪戯

49/57
647人が本棚に入れています
本棚に追加
/781ページ
   どうして酒が絡んだ宴会はこうも面倒臭いのか。  アイリスの対処はクラリスさんとスィさんに任せておけば…… 安心できないな。 一線を越えて全裸で走り出すとか、そんな珍事は名誉の為に良くない。  一方でドクロの相手をしているベルファンさんは…… 大分フラフラになっている。 それなのに乳鉢に何でもかんでも放り込んでは粉末にしていた。   「いっその事、酒精を粉末に出来たら良いのにねぇ…… はっ! 僕は天才的な事を思い付いてしまったよ!」 「何なり?」 「ドクロ君は粉末状の物なら味が解るんだよね!? つまり、飲んだり食べたりした事とと同じだよね!?」 「いかにもなり」 「ならば、ドクロ君が酒で酔うという感覚を味わう為に、酒精を粉末にしてしまえば良いと思うんだ!」 「よく解らないなり。 それよりも他の粉を味わわせるなり」 「ベルファンさん、酒精は液体ですよ…… 粉末にするって概念自体が間違ってません……?」 「ちっちっ。 これがハーディスなら新たな知見とか言い出して、酒精の粉末化を始めると思うんだ! ところで、エリオット君は薬学に明るいのかい!?」 「ぼ、僕はその辺、落第点で…… アイリスの方がよっぽど腕は良いですよ」 「じゃぁアイリスちゃんにお願いしよう! アイリスちゃーん! 僕からお願いがあるんだけど--」  ガン!  女性三人の傍に近付こうとして、ベルファンさんは顔面に空瓶を投げ付けられていた。  投げた張本人は-- アイリス。 「エーゲルデスト様のスケベ! 今、私を襲おうとしてた!」 「と、とんでもない誤解だよ! 僕は薬学の腕を振るって貰おうとしただけで--」 「気を付けろアイリス、マスターは胸が控え目な女が好みなのだ」 「そうよアイリス、近寄ったら汚染されるわ」 「ひぃ!」  アイリスが酔っぱらってるからって、なんて適当な事を……!  
/781ページ

最初のコメントを投稿しよう!