黒い実

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 実は男が食べた物はブルーベリーの実に酷似したベラドンナの実だったのだ。  女は姉を魔女狩りで殺された恨みを晴らすべくベラドンナを栽培し、ベラドンナの実の毒を利用すると共に毒以外の成分によって瞳孔を拡散させて目を大きく美しくして魔性の笑顔を手に入れ、それを活用した訳だ。 「うえ~!苦しい!」と男が激しく呻き声を上げ始めると、女は勝ち誇った笑みを浮かべて言い放った。 「お前が食べた物はブルーベリーじゃなくてベラドンナだったのさ!アッハッハッハ!」 「な、何故そんな物を食わせた?」 「私はお前が信じる魔女だからさ!ざまあみろ!アッハッハッハ!地獄へ旅立つ前の餞としてベラドンナの花言葉を贈ってやろう!『人を騙す者の魅力』正にお前は私の笑顔の魅力に騙されたのだからぴったり当てはまるわ!そして『男への死の贈り物』これもぴったり!アッハッハ!」  男は女の笑い声を確かに魔女だと思って聞きながら事切れた。  女は男の断末魔を見ながら魔女が実在したらこんな風に笑うだろうといった感じで笑っていたのだった。
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