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「理人さん、お食事は……?」
「いらない」
梨香子さんじゃないとバレてしまったという後ろめたさからか、綾瀬さんの発する声がなぜか冷たい声に聞こえてしまう。
それに「いらない」と言われたことが、もう完全に私を拒否されているように感じた。
「で、話ってなんだ?」
綾瀬さんは私が座っているダイニングテーブルの前に腰を下ろした。
「お仕事でお疲れのところすみません。これからお話することは全て本当のことです。信じられないかもしれませんが、とりあえず聞いてください」
そう言って私は契約結婚をしたときの契約書を出した。
緊張から、小さく息を吐く。
そして心を落ち着かせたあと、ゆっくりと口を開いた。
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