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「じゃあ捻くれたお前に、問題」
「なんですか?」
「煙草の花言葉はなんでしょう」
「煙草?」
「あぁ。煙草だって花あんだろ」
「あります、けど」
「もし当てられたら、それがお前の問題の答えってことにしとく」
「私の問題の答え……」
辻村が繰り返すと、望月は「あぁ」と笑う。
「……わ、私、そろそろ帰りますね」
「おう」
「じゃあ先生、さようなら!」
「はいはい、さよーなら」
ばたばたと走り去っていく辻村を見送り、望月は呟く。
「リナリアの花言葉――この恋に気付いて、だったか」
わずかに口角を上げ、望月は煙草に火をつけた。
校門まで走った辻村は息を切らし、熱くなった頬に手を当てる。
「た、煙草の花言葉は――あなたがいれば寂しくない」
声にならない悲鳴を上げながら、辻村はしゃがみこんだ。
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