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「文月さん、文月さん。」
「どこにでもおいてください。」
ちらりとも楓の方を見向きもしないで雫は答えた。
「あー、ありがとうございますー。いつも助かってますー」
楓は頭をぺこぺこと上下させながら、雫の机の上に段ボールを置いた。隣でがさごそと段ボールの中を漁っている楓を横目に、雫は昨日作製した資料を保存してある階層までフォルダを降りていくと、そのパスをコピーして藤原宛のチャットに送った。
「藤原さん。昨日の資料が置いてあるパス貼りました。」
「お、ありがとう。確認しておくよ。」
段ボールを漁っていた楓が、そこで藤原の方を振り返った。
「昨日の資料ってあれですか。新規顧客向けの提案書でしたっけ?」
「そう。朝のミーティングで使うから用意してくれって急に言われてね。」
「確か顧客説明再来週でしたよね。チェックするにしても早くないですか?」
「そのはずなんだけどね。まあ急な連絡だったから、用意できるなら。って話だったけど。」
「さいですかー」
楓は段ボールの中から目当ての品を取り出すと、他のものを全て段ボールに押し込んだ。
「段ボール。片付けてくださいね。」
「・・・・・・はい。」
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