1日目!どこに行くかな〜

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* 『それでは次の見学地発表します!』 「いぇーーい!」」 「いっちゃって〜!」」 パチパチパチパチ 『盛り上げ、ありがとうございます』 『では皆さま』 「はいはい!わかった!」←ピラ 「え!どこ?!」←コボリン 「素人にゃわかんないか〜  別府からこっちへ走るということは」 『七バス班はお黙り下さい』 「スミマセン…」」 『本日の午後は  めいっぱい癒されていただこうと思います』 「癒しだって!なんだろう!」 「かなは別に普段から  癒されたいようなストレス感じてないだろ」 「感じてるし!」 「お前ストレス発散してんじゃん、練習で」 「ホント、ひどいノック打って  散々罵るくせに」 「あ、そっか  私、毎晩癒されるからな〜  だからストレスないのかも  ね、先生♡昨夜もいっぱい癒しあいっこし…」 「かなちゃん」ニコニコ ヨケイナコトイワナイ 笑ってない笑顔で黙らされた。 『皆さま、水族館はお好きですか?』 え? 水族館?! 「お好きですか?ってよ」 「大好きです!」 『大きなお返事ありがとうございます』 『これよりご案内いたしますのは  大分マリーンパレス水族館うみたまごでございます  2004年にリニューアルしたこの水族館の前身は  1964年、大分生態水族館として  開園したものでございます。  潮の流れを泳ぐ魚の姿を再現した回遊水槽は  当時、世界にも例がなく』ナンチャラカンチャラ 『現在はイルカのショーや  セイウチのショーも大変人気で』 「セイウチ…!」キラキラ 「女ムツゴロウの血が騒いどる」 「ワニ見て生簀見て水族館て  お前のための一日だな」 『それから、このうみたまごから  道を挟んだすぐお向かいにございます高崎山  猿山ですね  ぜひ両方見ていただきたいのは山々ですが  あまり長い時間はございませんので  どちらかに集中していただいても  両方いいとこ取りで見ていただいても  ご自由に過ごしていただきたいと思います』 さるやま? 「先生…」 「かなちゃんほら見て  セイウチのショー、タッチ出来るかも」 先生はスマホでセイウチを調べていた。 「お猿さん見に行こう」 「え、でもセイウチだよ?」 「先生、猿山見たかったでしょ?」 咲子が言ってたもん。 佐賀の大学で会っちゃった時。 先生が猿山見たがったって。 「猿山見に行ったことある?」 スマホを見ていた先生は顔を上げ、何かを思い出すみたいに一瞬の間があって 笑った。 「いいの?」 「先生は?」 「うん、猿見たいかも」 バスは水族館の方に停まった。 先生はカメラを首から掛け、フックに引っ掛けていたリュックを背負う。 私のバッグが容量の無い可愛いさだけの籠バッグで荷物は入らないから、先生は、いつも私が使ってるあのポーターの黒のリュックを持って行くことにした。 「お疲れ様でございました  行ってらっしゃいませ」 ガイドさんがバスの外で入場券をくれた。 みんな水族館へ向かう。 「サル見てきます!」 「今赤ちゃんも産まれてるらしいですよ!」 「うそ!赤ちゃん?!  先生赤ちゃんいるってよ!」 「あちらから歩道橋を渡ったらすぐです」 「はい!行ってきます!」 なんだか近代的な大きな歩道橋。 「監督行かないの?」 「飲み過ぎて歩きたくねぇからイルカ見てくる」 「カズくんも水族館?」 「うん、今俺がそっち行くって言ったら  紫藤先生と読者から闇に葬られそうだし」 「そうだね」 みんな水族館に行ってしまった。 猿山に向かってるのは、私と先生。 それに七バス班の男の人たちだけ。 ↑一之瀬さん越智さんつっちピラコボリン 「そこらじゅうに猿がいるんだよね?」 「だと思う」 「動物園みたいに  遠くから見る猿山と違うんだよね?」 「うん、だと思うよ」 歩道橋を渡り、入場口に到着。 猿たちがいる場所まで可愛いケーブルカーでも登れるみたいだけど、私と先生はゆっくり歩いて行くことにした。 可愛いケーブルカーは捨てがたいけど。 捨てがたいけど… 乗ってみたいけど… 「の…乗る?」 「いいの!自然の中をデートするの!」 かめの道を、大きな海を眺めながら 「かなちゃん」 「ん?」 カシャ なんで今撮ったのかは不明。 先生は無意味に私を撮る。 「先生、海綺麗だね」 「そうだね」 「毎日船に乗って海渡って仕事に行ってるのに?」 「仕事に行く海と  かなちゃんが猿がいいって言ってくれた海は違う」 「なにそれ〜」 「あ、かなちゃん」 「今ときめきワードはいいから〜」 「猿」 「は?」 「や、違うあそこ」 先生の指す先 「お猿ちゃんだ!」 もう高崎山は始まっていた。 登るにつれ、そこらに猿が。 「可愛い〜ヤバ〜い!」 ちらほらと猿を見ながらかめの道を登った先は 「サルの国だ!」 思ったよりもサルの世界だった。 「すごーーーい」 「あ、赤ちゃんいる!  先生赤ちゃんいるよ!」 「見て!めっちゃ木登り上手い!」 「わ、あの子ハーレムやってる!」 猿を見なさい猿を。 こんなに可愛い猿が山ほどいるのに、先生は私を見て最上級に微笑んでいた。 私のこと猿だと思ってない? 「かなちゃん楽しい?」 「めっちゃ楽しい!  あっち行ってみよう!」 「うん」 いつまでも飽きなかった。 係の人がバケツにご飯を持ってくると猿が群がるのが羨ましい。 「ここに住みたーーい  ここでバイトしたーーい」 「あ、かなちゃん近づいて来たよ」 「ホントだ!うわ〜可愛い!」 私に惚れたのかしら。 「こんにちわウッキー」 はぁ?ウッキーってなんや、なめんなよ そのお腰につけた籠の中身やれや 果物入っとるやろが 匂っとるで←グミ 「先生見て〜ちょー可愛い!」 知っとるわ、言われ飽きたわ 早よ食いもん出せや 「かなちゃん危ないから見るだけだよ  触っちゃダメだよ」 「なんか君男前だね〜  目がキリッとしてる〜」 お、なんやわかるか? 「モテそ〜」 そうやねん モテ過ぎてな〜困んのよ! 「なんか、会話してない?」 「わかり合えたみたい〜」 結局、最後の最後まで私と先生は高崎山で遊んで、水族館は見に行けなかった。 「かなちゃん、好きだよ」 「え、何急に〜」 「大好きだなって  やっぱりそう思うんだ」 バスに戻る歩道橋の真ん中で、先生は急に愛の告白をして、手を繋いだ。 繋いだ二人の手首には あの時結んだお揃いの ミサンガ。
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