クイーンパラドックス

15/16
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
◆◆◆ 信じられない(アンビリーバブル!)全てがまるで夢のように叶ってしまった。素晴らしい妻と娘を得ることができた。ケリーはなにも知らないのだ。あの稲妻は僕が作り出した転送装置から出されたものだと言うことを。肉体の時間まで戻すまでにかなりの時間を開発に費やした装置だった。 僕は確かにあの学校の誰よりも成功したと言えるだろう。けれど女運はすごく悪かった。億万長者になったとたん、どんな美女でも目の色を変えて追いかけてきたけど、最終的に待っているのは裏切りと破局となぜだか僕が支払うことになる多額の慰謝料だった。 40も手前で僕は結婚も家庭も諦めた頃、たまたま母校の講演会に出演することになってあのダイナーに立ち寄ったらケリーがいた。 なんだか、すっかりくたびれた様子だったけど、彼女が僕の初恋の人で、彼女が昔ぼくにどれだけ親切だったかを思い出した。彼女とだったら今からでも人生を仕切り直していけるかもしれないと考えたけれど、ケリーはぼくのアストンマーティンで目の色を変えることもなかったし、食事に誘っても母親の世話があるからといって断った。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!