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そんな由偉が最近興味を持ち出したのが新城真琴というわけだ。由偉にしては珍しく真琴が美人だと認めた。これは大変珍しい。
女の子とケンカをした。これもそれ以上に珍しい。何かしらの感情を抱いているのは間違いなかった。
どう転ぶのか楽しみでしょうがない。ボランチとして、トップからバックまでしっかり目を凝らして見ているつもりだが、由偉はサイドハーフだからパスもよし、切り込んでもよしと幅は広いが守りはよくない。色々考えているとにやけが止まらなくなる。
新緑のすき間から射す木洩れ日のような由偉の笑顔は眩しい。その笑顔が見たいがために友人を続けているとも、絶妙なパスを回しているともいえる。
そういえば、胡蝶蘭の花言葉に幸福が飛んでくる、というのがあった気がした。真琴が幸福を呼ぶ胡蝶蘭なら、由偉はその胡蝶蘭の成長に欠かせない光。
そんな由偉にいつか幸福の光が届きますように。
巧の鋭い眼差しが一瞬だけ緩んだように見えたが気のせいだろうか。
(了)
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